ネーミング語感分析サイト ヒットネームファクトリー

 ヒットネームファクトリー コラム           ネーミングインパクト  語感対決

 ◆ネーミングインパクト<ネーミングの不思議を語る、黒川伊保子の不定期コラム>
 ◆語感対決<ライバルを語感で対決させてみました!>


 ネーミングインパクト ネーミングの不思議を語る、黒川伊保子の不定期コラム

 Vol.1 「スティーブン・ブラッドレーの天職」

 先日、とあるマーケティング研究会にゲスト・スピーカーで招かれ、50分ほどのスピーチの最後に、
 名前の語感が作り出す期待感について語った。

 たとえば、電車でたまたま隣に座った女子高校生の二人連れが、「うちのクラスのスズキ・シュンスケと
 ゴウトクジ・マナブだけどさぁ」と口にしたとしよう。こっちは名前の音しかわからないのに、なんとなく
 「スズキ・シュンスケはクラス対抗リレーで活躍するサッカー部のエースっぽい」「ゴウトクジ・マナブは、
 歴史にマニアックに詳しそう」という印象がないだろうか。
 スズキ・シュンスケと発音すると、口腔内を疾風が吹き抜ける。しかも、舌の緊張(スズ)、喉の緊張(キ)、
 舌の緊張(シュンス)、喉の緊張(ケ)と、筋肉の緊張点が機敏に前後する。したがって、スズキ・シュンスケ
 と発音すると(発音を聞くだけでも)、私たちの脳には、「機敏でスピード感がある感じ」がするのである。
 ゴウトクジ・マナブは、胸郭に細かい振動を作る濁音(ゴ、ジ、ブ)と、頭蓋に細かい振動を作る
 母音・鼻音(ウ、マ、ナ)が交互にやってくる。細かい振動が幾重にも重なるのだ。しかも、しっかりと
 止める印象のトクがこれにアクセントを与え、ゴウトクジ・マナブと発音する者(発音を聞く者)の脳に、
 「継続、蓄積」を感じさせている。歴史にも詳しそうだけど、貯金も貯めていそうだ。
 このため、スズキ・シュンスケの足が遅かったら女の子たちはがっかりするが、ゴウトクジ・マナブが
 運動オンチでも大丈夫。スズキ・シュンスケに「ちょっと、お金貸して」と言われても気にならないけれど、
 ゴウトクジ・マナブに借金を申し込まれたら、ちょっとショック。そんなふうに、名前の語感は、暗黙の
 期待値を持っているのである。

 ・・・とまぁ、そんな話。

 さて、私の後に登場したスピーカーは、ジャーナリストの手嶋龍一氏だった。
 手嶋さんは、私の語感分析の話を受けて、とても面白い話をしてくれたのだ。
 氏のベストセラー小説「ウルトラ・ダラー」の主人公の名前を決めたときの話。

 氏は、小説を書き始める前、イギリスの知人二人(男女)に、たくさんの苗字と名前のリストを渡し、
 「いかにも極東に配置される諜報工作員にふさわしいと感じさせる名前を選んでくれ」と頼んだのだそうだ。
 回答は、奇しくも同じフルネームになったという。
 それが、スティーブン・ブラッドレー。
 しかも、実際に極東配置された諜報部員の中に、まったく同じフルネームの男が存在したというのだ!

 手嶋氏は、「だから、黒川先生の言うとおり、名前の語感は、万人に通じる一定の期待感を作り出し、
 人は、その期待感の通りに振舞ってしまうということが、私には、ほんとうによくわかる」と語ってくれた。
 語感の不思議を紐解いている私にとっても、この話は、驚きの事実だった。

 名前には、その語感が作り出す期待感がある。
 人は、期待感通りに振舞ったほうが楽なので、どうしても名前の期待感通りに育っていってしまう。
 商品は、商品名の語感の期待感と、商品コンセプトが一致したときに売れる。
 これが、語感の法則である。
 語感は、発音するときの口腔内物理効果が作り出すものなので、この法則は、人類普遍であるはずだ。
 ・・・とは思っていたけれど、実際に、イギリスの例で目の当たりにすると、改めて驚愕する。

 あなたの名前は、どんな期待感でできていますか?

                                                     2008年3月10日
 ネーミングインパクト ページトップへ  語感対決  語感ジャーナルバックナンバー 
お問い合わせ ご利用上の注意 プライバシーポリシー お知らせ リンク メールマガジン コラム